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共通テスト体験記

2024年1月13日(土)及び14日(日)に共通テストを受けてきました。

自己研鑽、人体実験、塾生への情報提供といった目的があります。

 

大学の門をくぐる。「いい歳して自分は何をしているのだろうか」と思い始めると、つい笑みがこぼれてしまう。

試験場は最も奥の建物で、比較的前の座席だった。個人的には後方よりも遥かに気が楽。
まず社会から。世界史仲間だった塾生が2人とも選択を変えてしまったため、自身も途中で勉強の強度を落としてしまった。

それにしても、社会ですら設定の文章がだらだらと長い。ともすれば時間切れの可能性もあるのではなかろうか。また、少なくとも大人目線で言えば、「え?なんだろ、この問題。読めば答えが出るようになってるけど、本当にそれで良いのだろうか?」という難易度の問題がたまに出てきて、ついついトラップを疑ってしまう。

自己採点結果は78点。大体予想通り。年末年始に勉強をする暇が殆ど無かったことを踏まえると、悪くは無いのかなと思う。もう1つは、倫理・政経を解き始めたものの予想に反して倫理の手ごたえが悪かったため、10分後に政経に変更。考えればわかる問題が多いなという印象で良い手ごたえだったが、結局51点。全くの無勉強とは言え、君は大人だよなぁと、少々恥ずかしい。

 

昼休憩。この時点で相当疲れた。妻が用意してくれたおにぎりが格別美味しくて、明日もこれをお願いしようと誓う。

 

昼食後に国語。評論が、最も苦手としている芸術系(終盤に論理破綻しがちだから)で、内容になかなか没頭できず嫌な雰囲気。基準の25分でちょうど切りよく終えたので、くよくよ考えずに小説以降へ。小説は、終盤の問題以外は自信をもって選べた。古文も、文章中盤までと設問が問いかけている内容とを総合して、人物関係の整理整頓と仮説の誤りを修正することに成功した時点で任務完了。1問迷ったが、普段塾生に教えている通りの照合を丁寧に実行し、漢文へ。漢文は形式の変更にこそ「生徒が戸惑って判断を誤りませんように」と祈ったが、内容はかなり簡単だったため、あっさり終わって10分余る。よって、評論をあらためて説き直すことにしたけれど、結局、変更すべきだと思った箇所が無く、そのまま終了。自己採点結果は198点。高得点だが、ここまでいくなら折角なので満点を取りたかった。間違えた問題は、漢字の「紛れる」を「粉れる」と判断した結果。本当に「紛らわしい」

 

続いて英語リーディング。今回の試験に臨むにあたり、周囲に「満点じゃなかったら恥ずかしい。絶対に満点を取る」と豪語していたけれど、結果は81点と赤っ恥。これまで、センター試験の頃は45~50分で終えて満点が当たり前の状況から、センター試験終末期に55分くらいかかるようになり、2023度共通テストの年から60分を超え始め、本試験に臨む前に解いた2023年度追試験では75分かかっていたため、時間の余裕が無いであろうことは覚悟していたのだが、世間で流布しているスキャニング(設問を先に読んでおいてターゲットを意識してから文章を読む解き方。処理速度が上がるため、多くの人が推奨している)が嫌いでずっと拒絶し続け、今回も実行に移さなかった。その結果、大問4を終えた時点での残り時間が想定の10分も少なくて焦りのスイッチが入り、文章を読んだ記憶のみで選択肢を選ぶという、日ごろ塾生に禁じている解き方で間に合わせようとした結果、結局5分余ったものの大問5と6だけで19失点という結果に。文章量のあまりの多さに、試験中つい、「嘘やん。この文章まだ続くん?」と小さく独り言を呟いてしまった。問題用紙には解答を書き換えたような形跡があったので、もしかしたら6点上がるかもしれないが、とりあえず81点。これまで、塾生には原則スキャニング推奨、どうしても苦手であれば実行しなくても良いよという関わり方をしてきたが、今回の経験で思い知った。もう、スキャニング無しでは落ち着いて解けるテストではないと。塾生にも強制する方針に変更。そもそも、過去に大学入試センター自身が、「今回の問題って、スキャニングが有効な問題形式だったでしょ」といった趣旨のアナウンスをしているわけだし。

リスニングは97点。現役の頃には無かった試験であり、初めての経験にワクワクしながら臨んだ。唯一間違えたのが、3つのハンディファンの正しい並び方を絵から選ぶもの。2回読んでくれる形式での問題だったのだが、2度ともどうしても聞き取れない情報があり、残った2択から正解を選びだす運も無かった。どうやら、slimest と言っていたらしい。また、第3問(ここから1回読み)の問題と問題との間隔が随分狭くて、数秒ほど置いてけぼりをくらって焦った。

 

1日目が終わり、翌日のために化学基礎のおさらいだけ少々取り組んで、いつもより3時間くらい早く就寝。

 

2日目。
まず数ⅠA。序盤の問題で見事なまでに頓珍漢な作図ミスをして、間違った図を前提に問題を解こうとしたため、多大なる時間の浪費をしてしまい、実質この時点で終了。まともに取り組めたパートが2か所だけで、あとは、ただただ慌てながら解けるところを探す状態に。
半分いかないだろうなという覚悟から、「いやいや、時間が残っている内は全力で!」という風に気持ちを奮い立たせ、67点まで積み上げられたこと自体は自分を褒めたいが、85点くらいが目標であろう実力の人間が満点狙いで試験に臨んでしまったことがそもそもの間違いだったなと思う。
ⅠAでの失敗はⅡBにも大きく影を落とす。「設問の設定をきちんと守ろう。問題文をよく読んで、脳の中にきちんと取り込もう」と言い聞かせた結果、自覚無く慎重になりすぎていたようで、4つある大問の2つ目を終えた時点で「残り10分です」という試験監督のコール。
「え?気絶してた?」と呆気にとられるほどの時間感覚の失調。今なら相対性理論を完璧に理解できそうなほど。

残していた数列とベクトルのうち、数列で詰まった瞬間に得意なベクトルに進もうと決めて猛ダッシュしたものの、思ったほどベクトルの問題を解き進めることは適わず、56点という悔しい結果に。
数学は両方とも、きちんと時間を測って演習を重ねるというトレーニングを積まないと、たった1つか2つ程度の躓きで大きなダメージをもたらすということを、あらためて思い知った。

最後の科目は化学基礎と生物基礎。
化学基礎は簡単だった。中間発表での平均点が随分低くて驚いた。自信の無い問題が合っていれば満点だなと星勘定をしていて、その問題は正解だったのだが、酸素(O)の原子量を18で計算するという痛恨のミスで終盤の化学反応式の計算を2つ間違え、44点。

生物基礎は本来、得意科目であるけれども、需要が無さ過ぎてブランクを重ね、勉強する時間も取らなかったので、悪い点になるのは覚悟していた。しかし、余り過ぎた時間を使って丁寧に丁寧に考え直した結果書き換えた4箇所が悉く不正解となり、11点も失ったのは痛恨だった。塾生には常々、「解答の変更は明確な根拠が見つかった時だけにすること。正解を不正解に変えてしまうのが最も堪えるから」と諭しているのだが、まさしくその状態に陥った。自分なりの「明確な根拠」は見つかったつもりだったのだが…

 

合計で699点/900満点。あと50点ほど取りたかった。来年もスケジュールが許せば受けてみたいと思う。

 

今回の経験が、自身は勿論、塾生やブログをご覧のかたのお役に立てばと思います。

リスニングは、第4問以降の問題設定を事前に把握できるかどうかにかかっています。半分はリスニングだけどもう半分は事務作業のテストなので。来年度受験生は、今から、空白時間に後半の問題文やグラフに目を通しておくという練習をしておきましょう。状況を把握できているか否かで解き易さが劇的に変わります。

 

なお、僕は今回、休憩時間は好きな音楽をずっと聴いていました。

Led Zeppelin のRain Song、Yoasobiのアイドル、Adoの唱、椎名林檎のシドと白昼夢、First to ElevenがカバーしたSweet Chile O' Mine、そして、フレディ・マーキュリーとモンセラート・ガバリエによるバルセロナ。

最近、「好きな音楽を聴いてから臨む方が、良い試験結果が出る」という内容の英文を読んだことがきっかけです。
効果がどうであったのかはよくわかりませんが、数ⅠAでやらかす前やそれ以降は、バルセロナをヘビロテしてました。ちょっと感情を昂ぶらせ過ぎたのかもしれません。だって名曲なんだもの。聞いたことの無い人は、是非!

総じて言えるのは、実力があってもちょっとしたきっかけで崩れる怖さがあるのが共通テストであり、十分な準備も無く高得点を目指してしまうと、その崩壊度が増してしまうということ。良い意味で身の程を知り、その理解の上に立って愚直に演習を重ねつつ、対策を考慮することが大切なのだと思います。

 

大学受験生は今、二次試験に向けて一生懸命机に向かったり、まさしく私立大学の受験をしたりしている頃でしょう。今回、共通テストを受けてあらためて実感しましたが、いやぁ、頭が下がります。良い結果をつかみ取ることを切に願っています。